レース前の説明を聞く選手達。佐藤さんも緊張の面もちです。
 
浜の長老達です。左から金井さん、白洲さん、堀内さん。
 
コースの説明ボード。基本原則「自分の身は自分で守る」です。
 
いよいよスタート!!
 
「カナカイカイカ第一戦」

2002年4月6日

 
 4月6日(土)穏やかな晴天。6時に山本Bさん宅により、カヤックを積み込み葉山を目指す。心配された道路の混雑もなく、ほぼ、一時間で御用邸そばのコンビニに到着。食料、飲料を買い込んで、会場である大浜海岸手前の葉山公園に着いた。

 すでに、多くのライフセーバー達が集まっている。カラフルな6m超のサーフスキーやパドルボードがカートップにびっしりと積まれ、今までのカヤックレースとは、ちょっと違う趣である。若く華やいだものを感じる。

 その中に、数は少ないがシーカヤックがちらほらと見受けられる。渋ちゃんも、ラダーとシートに手を加えたイヌークですでに陣取っていた。雰囲気にちょっと圧倒されながらも、あたりをひとまわりし、今回借りることになっているカナイさんの舟を探す。まだ、来られていないようである。葉山という場所がらか、集まって居る面々の若さからか、女の子の多さからなのか、この大会は、とにかく違う。

 しばし、Bさんと散歩がてら談笑していると、金井さんがやってきた。美しいウッドの細長い舟が2艇屋根の上に丁寧に積まれている。今回乗せてもらうのは、PAX20という昨年作った新艇で、長さがちょうど6m、幅が、49.5cmというサーフスキーにも負けない細長さのカヤックである。昨年1、2度乗せてもらって少し素性はわかっている。細いけれど、安定感を感じる、コクピットも広く全体にゆったりとした印象の舟だ。ただし、ラダーではなくスケグ仕様なので、美しいテールエンドだがカーブは難しそうである。エントリーがちょっと遅れ、シートを合わせたりしているうちにアップの時間がほとんどなくなった。

 少し漕いだが、コースの説明があると放送が入ったので、すぐにあがり、説明を聞く。危険な個所などをチェックし、あらましを頭に入れる。前の方に行く心配はないので、とにかく、前方の舟に前半は着いていこう、と思う。スタート前Bさんに、渋ちゃんと河井さんをマークして着いていけたら、着いて行きなよと言われ、そうしようと思い、海に入る。

 ゆったりとした大きめのうねりが入ると慣れないので、ちょっと怖い。スタート地点が海に向かって、もっと右であることがアナウンスされたので、舟を慎重にバックさせ列の後ろに着く。3列目か4列目というポジションでスタートを待つ。右前方に渋ちゃんが見えたので、視界にしっかりと入れる。河井さんは、見つからない。キョロキョロしているうちにスタートの合図。一斉にパドルが動き出す。目がまわる。アップが少なかったので、最初の1〜2キロはゆっくり行こうと思い、渋ちゃんだけを視界に留め、ゆったりと漕ぐ。

 レールのような前方のサーフスキーから送られてくる曳き波が右にも左にもあって、漕ぎづらいので、進路を一番左に外す。渋ちゃんは、すでに50mくらい前にいる。これ以上離れると追えなくなるなと思い、少しピッチをあげ、離れないようにする。前方は、岩場の浅そうな地点。みんな中に突っ込んでいくが、お腹を擦っては大変と、左に大きく迂回する。しばらくして合流。少し離れた気もするが、視界には捉えている。

 渋ちゃんの左横には、赤いモリイズミの艇、もしやと思い追いかけると、少しずつ渋ちゃんから、その舟が遅れてくる。近づくと、前田さんの乗る、モリイズミのサーフスキー。ボトムは、河井さんと同じものらしい。目標にして差をつめる。左からゆっくりと差を詰めついに並ぶ。ペースを落とさずそのまま漕ぐ。抜いた。今度は、渋ちゃん。まだ、20〜30mは差がある。とにかく前を見て追いかける比較的直線の穏やかな地点に来たので、手近のサーフスキーを目標にして、一台一台抜いて、前との差を詰める。

 渋ちゃんが、すぐ目の前を漕いでいる。大きく見えたストロークも一緒に並ぶと僕の方がピッチが遅い。やはり、パドルの長さのせいなのだろう。しばらく後ろを漕ぎ穏やかな海域のところで、ちょっとペースをあげ、一気に前へ出てみた。競り合うこともなく前を漕ぐことになった。

 水は、底まで見えてとてもきれいだ。レースで、必死に漕いでいるのがもったいないみたい。前方に右へ曲がるポイントのブイが見える。さらに前のサーフスキーを追って、ポイントを目指す。右に曲がると次は左に曲がるポイントのブイ。そこを曲がると次は、沖へまっすぐ漕いで、折り返し地点だ。最後のブイを曲がり、長い直線に入ると潮の流れなのか、風のせいなのか、舟が、左へ左へと押される。左は、網と海草の回避地帯なので、左のパドルを長めにしてスイープ漕ぎ。最終コーナーで詰めた緑のサーフスキーが遠ざかって行く。

 右手に先頭集団が見えてきた。6キロ余を漕いで戻ってきたとは思えない素晴らしいピッチだ。しかも、先頭は、クラス優勝した笹川さんのシーカヤック。サーフスキーにデッキが被せてある、そんな感じの舟だ。そのあとも、ぞくぞくと後続が続く。右手に気を取られていたら、僕の舟は、左に大きく航路をそれてしまった。ゆっくりと建て直し、折り返し地点を目指す。たぶん、この間に河井さんともすれ違ったはずなのだが、操船に必死だったみたいで、気づかなかった。

 大きく外側から、折り返し地点に向かって右にカーブ。しかし、舟が曲がらない。今までの、90度以下のカーブと違って、180度のカーブは、ラダーなしの長い舟にとってかなり難しい。しかも、ライダーは僕なのだ。ここで、沈をしたら、元も子もないと思い、慎重にゆっくりと曲がっていたら、艇は大きくコースをそれ、ふくらんだ。係の人から、「コースに戻ってください」、とか怒鳴られる。わかっているのだが、かえってあせって思うようにいかない。かなり、遠回りをし、やっと元に戻る。後半抜いたサーフスキーや渋ちゃんたちが前に見える。しょうがない。

 しばらくして、金井さんとすれ違い、声をかける。でも、後半は、コースがわかるので、思い出しながら、徐々に追いかける。最終コーナー手前で黄色いサーフスキーを抜く。渋ちゃんまでは、あと3台。もう一つ、カーブを曲がれば長い直線に入るので、とにかく差を詰める。差がつまるのは実感できるので、あせらない、あせらない。コーナーを左に曲がりいよいよ直線。一台、一台と言う感じで前に出て、再び渋ちゃんの後ろについた。しかし、今度はこのあとが詰まらない。こちらも、疲れが溜まってきている。しばらくうしろを漕いで様子を伺う。

 スパート気味にピッチをあげ前に出る。汗が目に入り、あちこちに前半にはない痛みを感じる。あと、半分と言い聞かせる。前は、前半の最後に追いついた緑のサーフスキー。目標にする。少し差が詰まったが、また、離れる。岩場の地点が近づいてきた。回避しようか迷ったが、前の舟をぴったりトレースすることにした。ちょっと難しかったが、何とかクリアー。

 あとは、ゴールを目指すだけ。長く感じるが、どうやら視界に入ってきた。まっすぐ行ってブイを左に曲がり、ちょっと行って今度は、右に曲がり最後の岸に平行な直線と、確認する。ブイにさしかかる。曲がる時、後方に三色のサーフスキーが目に入る。前にはパドルボード。最後のカーブは大回りで右に切れ込んでなんて思っていたら、ブイのところで、内側にさっきのサーフスキー。そして、さらに内側に何と渋ちゃん。3台がほとんど横一線。もう、どうにでもなれ、と思って必死で腕をまわす。ゴール地点の一番岸よりをなんとか通過。

 河井さんに声をかけられる。順位はわからない。上がってから、渋ちゃんに「ちょっとうしろだったと思う」と言われ、「そんな感じでした」と答える。結果を待つ。結果は、渋ちゃんより一秒速くて3位。ちょっと不思議な感じで満足感を味合う。レースのあとは、Bさんと喜びをわかちあい鎌倉でささやかな祝杯をあげた。

アスリート佐藤@矢木沢倶楽部

 
 
Last update 04/01/26
Mailto: kazu_@mxg.mesh.ne.jp
Copyright(c)2004 Kazuhiko Hayashi. All Rights Reserved.
Script written by PosPosPunch Fuctory.